イケメン御曹司のとろける愛情
「私のことなら気にしないでください。円崎さんから聞きましたから」
「聞いたってなにを?」

 翔吾さんが円崎さんを支えながら言ったとき、円崎さんが切羽詰まった声を上げた。

「気持ち悪ぅっ」
「トイレに行きますかっ?」

 あわてて円崎さんの背中に手を添えたけど、彼女は私の問いかけを無視して翔吾さんに言う。

「早く横になりたいわ」

「わかった。ちょっと待って、円崎さん。ホテルの部屋を取るから」
「そんなの待てない。水無川さんと同じ部屋でいい」

 酔った円崎さんはかなりわがままだ。

 でも、付き合っているんだから同じ部屋に泊まったっていいとは思うんだけど……。

 仮にも一夜(というより二夜)を過ごした私の前で、これ以上いちゃつかないでほしい。

 私はエレベーターの下ボタンを押した。

「私のことはお気になさらず、円崎さんを連れて行ってあげてください」
「それじゃ、奏美さんも一緒に来てください」

 翔吾さんに言われて私は目を見開く。

 これ以上かかわりたくないのに。

「お願いします」
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