イケメン御曹司のとろける愛情
 私は強い口調で言って、翔吾さんを見た。

「え?」

 翔吾さんが眉間にしわを寄せ、困った顔をする。

 ほら、言えないんじゃない。私とのことが円崎さんにバレたら困るんでしょ。

 そう言おうとしたとき、翔吾さんはなにかを決意したような表情になって言った。

「いいよ」
「え?」

 今度は私が数秒前の翔吾さんと同じような声を発した。

「う、浮気したことがバレてもいいって言うの?」

 私の言葉を聞いて、翔吾さんが思いっきり怪訝そうな顔になる。

「浮気?」
「だって、円崎さんが翔吾さんは『私のものだから』って言ってましたよ! それとも円崎さんの方が浮気なの? でも、私が本命なわけないでしょ? あ、そっか、私も円崎さんも遊びで本命はほかに――」

 いるの、と言おうとしたけれど、続きは言葉にならなかった。翔吾さんのキスに唇をふさがれてしまったから。

「な……んで」
< 142 / 175 >

この作品をシェア

pagetop