イケメン御曹司のとろける愛情
 キスから逃れようと大きく後ずさったら、かかとが壁にぶつかってそれ以上下がれなくなる。翔吾さんに二の腕を掴まれたままキスを繰り返され、背中が壁に当たった。追い詰められて動けなくなる。

「ずるい……」

 こぼれた文句の言葉は、悔しいけれど熱を帯びたかすれた声。

 壁一枚隔てた向こうには円崎さんがいるというのに、翔吾さんにキスされて嬉しくて胸が震えてしまう。

「ずるくない。俺は本気だから」

 そうささやきながら翔吾さんに唇をはまれる。

 ずるい、ずるい、ずるい。

 でも、理性とは裏腹に、心は彼を求めてしまう。

 手を伸ばして、翔吾さんのシャツの腕をキュッと握った。

「奏美さん……」

 甘い声で名前を呼ばれ、声が伝わる耳から蕩けてしまいそうだ。唇を貪られ、舌を絡められ、濃密なキスに息が上がる。

 やがて唇を離して、翔吾さんが私の額に彼の額を軽く当てた。
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