イケメン御曹司のとろける愛情
「円崎さんがどうして俺を彼女のものだと言ったのか、今から一緒に問いただそうか」
「え」

 翔吾さんの熱を孕んだ瞳が、私をじっと見ている。

「じゃあ、翔吾さんは本当に円崎さんとは付き合ってないの……?」
「もちろん。ネットの記事は根も葉もない噂だ。ミナガワ・エンジニアリングから抗議文を送ったところだよ。円崎さんの言葉は、これから言った本人に訂正してもらおう」

 翔吾さんは体を起こしてドアをノックした。

「円崎さん? 起きてる?」

 返事がないので、翔吾さんは今度はさっきより強くノックした。

「円崎さん?」

 翔吾さんが呼びかけた直後、カチャッと音がしてドアが内側からゆっくりと開き、円崎さんの不満そうな声が聞こえてくる。

「もう、遅いじゃないのぉ」
「悪い。でも、円崎さん――」

 翔吾さんの声を遮るようにして円崎さんが言う。
< 144 / 175 >

この作品をシェア

pagetop