イケメン御曹司のとろける愛情
「ねえ、初めて会った日のことをまだ怒ってるの? あんなことは忘れてよ。それより、そろそろあのネットの記事を本当のことにしてもいいと思うの。あなたは怒ってたけど、いい宣伝になるわ。だって、私たち、とってもお似合いでしょ?」

 直後、ドアが大きく開いた。円崎さんはドアにもたれて右手で気だるげに髪をかき上げた。ワンピースの左の肩が下がって、白い肩と柔らかな胸の膨らみが見える。翔吾さんが動かないので、円崎さんは一歩ドアから出た。だが、ドアの横に私が立っているのに気づいて目を見開く。

「か、奏美さん!? まだ帰ってなかったの?」
「はい」

 私がうなずき、円崎さんは「なによ、もう!」と不機嫌な声で言ってワンピースの肩を引き上げた。

 えーっと……。

 私は翔吾さんを見た。翔吾さんは肩をすくめて言う。

「公私混同はダメだと言いつつ、一番公私混同をしようとしているのは円崎さんらしい」

 これまでの会話から、円崎さんと翔吾さんは付き合ってないってことはわかったけど……。
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