イケメン御曹司のとろける愛情
「その表情(かお)、ヤバイ」

 え、と思ったときには、翔吾さんに手を引かれ、私たちはステージから離れた大きな柱の陰に身を寄せた。翔吾さんが顔を傾け、彼の唇が私の頬に軽く触れる。

「だ……誰かに見られたらどうするんですか」

 突然の彼の行動に、私は頬が熱くなって小声で言った。

「ごめん、奏美さんがかわいすぎて。これでも自制した方なんだけど」

 そんなふうに言われたら、顔が勝手にニヤけてしまう。

「嬉しかったから……謝らなくていいです」

 私が恥ずかしさ半分、照れ半分でチラッと見ると、翔吾さんはいたずらっぽく笑った。

「じゃ、これでジャズピアニストの奏美さんが俺のものだってみんなにわかったかな」

 翔吾さんがそんなふうに言うなら。

 私は背伸びをして翔吾さんの頬に触れるか触れないかのキスをした。

「じゃ、これでイケメンすぎる設計士さんが私のものだってわかりますね」

 翔吾さんが頬を赤くして目を見開く。
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