イケメン御曹司のとろける愛情
 ついつい気持ちが高揚しすぎて、テンポが走ってしまいそうになる。

 落ち着いて、しっかり演奏しないと。

 今日の私の仕事は、IA-1のお披露目の間、生演奏をすること。

 目の端に次々に焚かれるフラッシュが映る。写真撮影が一段落すれば、次は何台ものテレビカメラが回され、担当者による説明が始まった。説明をするのは、主翼を製造した円崎重工業の設計士や製造担当者から座席のデザイナーまで、IA-1の製造に関わった人たちだ。もちろん翔吾さんもエンジンを製造したミナガワ・エンジニアリングの代表として姿を見せている。今日はいつも工場で着ているライトブルーの作業着姿。スーツも似合っているけれど、作業着は翔吾さんの肩のたくましさや脚の長さがわかるから、野性的で……セクシーだなんて思ってしまう。

 一通り撮影が終われば、私の仕事は終了。あとは青空を背景に飛ぶIA-1をバックパネルにした記者会見場で、翔吾さんたちが報道関係者からインタビューを受ける。広報責任者の円崎さんはもちろん真ん中に座っていた。襟元にフリルたっぷりのゴージャスなブラウスとアイボリーのスーツが決まっている。
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