イケメン御曹司のとろける愛情
 あんな夜景を見ながらおいしいカクテルを飲めるなんて、贅沢すぎる。

 驚きすぎて考えが言葉に出てしまったらしく、三好さんが微笑んだ。

「今夜はそれにあなたの生演奏が加わって、至福の贅沢になるんですよ」

 わ、それってプレッシャーだ。

 私の表情に不安を感じ取ったのか、三好さんが茶目っ気のある表情で言う。

「大丈夫ですよ。それとも、あのデモテープ、実は別人が演奏していた、なんてことはありませんよね?」
「そんなことはありません!」

 つい力を込めて否定してしまい、三好さんがふっと微笑んだ。

「それなら心配することはありません。あの演奏なら、お客さまもきっと満足されると思いますよ」

 それならいいんだけど……。今まで演奏したことのないような高級な雰囲気に負けそうだ。でも、せっかくのチャンス。やるしかない。

 決意を新たにする私を、三好さんは店の奥へと促す。

「ライブ前に音響と照明のチェックをさせてください」
「わかりました」
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