イケメン御曹司のとろける愛情
 『ブルー・ムーン』というタイトルの曲はいくつもあるけど、今回はよく知られたシックな曲をチョイス。憂鬱なだけだった世界が、あなたに会えて光で満たされる。恋する喜びを伝えるため、もの悲しげなメロディから胸躍るようなメロディへ、情感たっぷりに思いを込めて演奏する。

 あまり有名ではない『スウィート・オクトーバー』は、実はプロポーズの曲。このままずっと一緒にいたい。その気持ちを歌う十月にぴったりなハッピーエンドの曲は、ひたすらに甘く奏でる。

 六曲目には私が作曲した『フライ・ハイ』を持ってきた。四年前、立ち直れないくらい落ち込んだことがあり、その気持ちをどうにかしたくてピアノを弾いているうちに、指が紡ぎ出した曲だ。以来、曲の指定がないときはライブで必ず演奏している。ジャズピアニスト・奏美=フライ・ハイってイメージがついたらいいな。なんて思ってるんだけど……。

 出だしこそ作曲当時の気持ちを反映して少し暗いものの、すぐに胸が高鳴るような躍動感あふれるメロディに代わり、弾いていていつも元気が出る。聴いている人にも少しでも明るい気持ちになってほしい。その思いを込めて弾く。

 七曲目と八曲目には、CMでもよく使われているスタンダードな名曲を演奏した。わりとよくジャズライブで演奏される、定番中の定番の曲。

 アンコールの拍手をいただいたので、このまま夜を楽しめるような艶っぽい曲を演奏した。

 温かな拍手が小さくなり、私はマイクを取り上げて終わりのあいさつをする。
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