イケメン御曹司のとろける愛情
「みなさま、お楽しみいただけましたでしょうか。本日のライブはジャズピアニスト・奏美がお送りしました。どうぞ引き続きアンバー・トーンでステキな夜をお過ごしください」

 マイクのスイッチをオフにして、グランドピアノの椅子から立ち上がった。お辞儀をすると温かな拍手が起こり、一気に全身から力が抜ける。

 代役のジャズピアニストだったけど、満足してもらえたみたいでよかった。これでファーストステージは終了。

 ホッとしながら一段高いステージから降りたとき、三好さんが拍手をしながら近づいてきた。

「すばらしかったです。お客さまも楽しんでくださっていたと思いますよ」
「ありがとうございます。そう言ってもらえてよかったです」

 無事、穂波さんの代役を務められたようで、よかった。

「では九時半からのセカンドステージもよろしくお願いします」
「はい」

 私は返事をして、エレベーターでいったん控室に戻った。ソファに座って伸びをしていると、インターホンが鳴った。
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