イケメン御曹司のとろける愛情


***


 セカンドステージもファーストステージ同様、全力投入した。夜が深まっているせいもあって、カップルが増えた客席はどことなくロマンチックなムードだ。

 アンコールでは感謝を込めて客席の一人一人の顔を見つめた。とはいえ、顔の輪郭がぼんやりと見えるくらいなので、実際に目が合っているかはよくわからないのだけど。

 拍手を浴びながらステージから降り、今度こそホッとして肩の力を抜いた。

「すばらしいステージでした。ファーストステージ以上に盛り上がりましたね」

 ステージ脇に三好さんが近づいてきて、穏やかな笑みを浮かべて言った。

「そう言ってもらえてよかったです」
「私自身もとても楽しませてもらいましたよ。一杯ごちそうさせてもらえませんか?」

 三好さんが手でカウンターを示した。

「ありがとうございます」

 私は三好さんに促され、バーカウンターの端の席に座った。三好さんは私の右隣に腰を下ろし、バーテンダーに視線で合図を送る。
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