イケメン御曹司のとろける愛情
「いかがいたしましょう」

 一人の男性バーテンダーが近づいてきた。かなりのイケメンで、スラッとした体躯に白のシャツと黒のベスト、スラックスがよく似合っている。

「奏美さんにドリンクを」

 三好さんの声を聞きながら、私はサッとカウンターに視線を走らせた。でも、カウンターの上にメニュー表はない。

 そうだよね、こういう敷居の高いところだと、メニュー表は置かないか。

 私は記憶にあるカクテルの名前から思いついたものをオーダーする。

「ミモザをお願いします」
「かしこまりました」

 バーテンダーはフルート型のシャンパングラスをカウンターに置き、シャンパンとオレンジジュースを注いだ。それをバースプーンで軽くかき混ぜる。

「お待たせしました」

 グラスをコースターにのせて私の前に置いた。

「ありがとうございます」
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