イケメン御曹司のとろける愛情
 カクテルはミモザの花と同じ名前の通り、気持ちが明るくなるような鮮やかな黄色をしている。

「私は……」

 三好さんが注文をしようとしたとき、背後から男性の声が聞こえてきた。

「三好さん、ステキなピアニストを僕にも紹介してもらえませんか」

 三好さんが振り返り、「ああ」と声を上げた。

 彼の視線の先を見ると、くっきりした二重の目が印象的で、甘い顔立ちをした三十代後半くらいの男性が立っていた。

「西谷(にしたに)さんもいらしてたんですか」

 三好さんが“西谷さん”と呼んだ男性がにこやかに微笑む。

「はい。樋波さんの代役のピアニストということで、とても期待していました」

 この人はどういう人だろう、と思いながら私が見ていると、三好さんが私を彼に紹介する。

「西谷さん、こちら、ジャズピアニストの奏美さんです」
「初めまして」

 私はゆったりと会釈した。三好さんは西谷さんを示して私に言う。
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