イケメン御曹司のとろける愛情
「なるほど」

 西谷さんは軽く返事をしてから、バーテンダーに視線を送った。

「バーボンをダブルで」
「かしこまりました」

 ほどなく西谷さんの前に、琥珀色の液体が入った、カットの美しいロックグラスが置かれた。

「お待たせしました」
「ありがとう」

 西谷さんはグラスを手にとって、バーボンを口に含んだ。香りと味を楽しむようにゆっくり飲んでから、私を見る。さっきとは打って変わって、熱のこもった眼差しだ。

「演奏もよかったけど、キミもとてもステキだ」
「あ、りがとうございます」

 すぎるほどまっすぐな西谷さんの眼差しに戸惑って、私はミモザを口に含んだ。

「改めて自己紹介するよ。さっき三好さんから聞いてもう知ってると思うけど」

 西谷さんがポケットから革製の名刺入れを取り出した。一枚抜いて人差し指と中指に挟んで私に向ける。

 なんかキザな渡し方だけど、私は両手で受け取った。
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