イケメン御曹司のとろける愛情
強い口調で言われて私は言葉に詰まった。
「でも、ちゃんと名刺をもらったし……」
私が手の中の名刺を見せると、エレベーター王子はため息をついた。彼の視線につられて名刺に目を落とす。
四角いカードには、“各種不動産オーナー 西谷壮二”という文字と、十一桁の携帯番号が書かれているだけだ。
なんの疑念も抱かなかったといえば嘘になる。けれど、目の前にぶら下げられたエサの方が大きすぎて、疑いの気持ちを見て見ぬふりしようとしていたのだ。
「やっぱり……おかしいですよね」
私は肩を落とした。ありもしないライブをエサに肉体関係を結ぶところだった。
「助けていただいて……ありがとうございました」
なんだか自分が恥ずかしくて、私は殊勝な顔でお礼を言った。
「俺はジャズにすごく詳しいってわけじゃないけど、最高のライブだったよ。あんな男の嘘に惑わされる必要なんてない。そもそも、キミみたいなジャズピアニストにあんな申し出をするなんて、あいつは失礼きわまりないふざけた男だ」
「でも、ちゃんと名刺をもらったし……」
私が手の中の名刺を見せると、エレベーター王子はため息をついた。彼の視線につられて名刺に目を落とす。
四角いカードには、“各種不動産オーナー 西谷壮二”という文字と、十一桁の携帯番号が書かれているだけだ。
なんの疑念も抱かなかったといえば嘘になる。けれど、目の前にぶら下げられたエサの方が大きすぎて、疑いの気持ちを見て見ぬふりしようとしていたのだ。
「やっぱり……おかしいですよね」
私は肩を落とした。ありもしないライブをエサに肉体関係を結ぶところだった。
「助けていただいて……ありがとうございました」
なんだか自分が恥ずかしくて、私は殊勝な顔でお礼を言った。
「俺はジャズにすごく詳しいってわけじゃないけど、最高のライブだったよ。あんな男の嘘に惑わされる必要なんてない。そもそも、キミみたいなジャズピアニストにあんな申し出をするなんて、あいつは失礼きわまりないふざけた男だ」