イケメン御曹司のとろける愛情
 水無川さんをリビングに案内すると、彼はフロントに電話をかけ、事情を説明してドレスを取りに来てくれるよう頼んだ。

 ほどなくしてインターホンが鳴り、やってきた係の人に水無川さんがランドリーバッグを渡す。

 その間に私はホテルの案内パンフレットを開き、クリーニングの値段を見て目を剥いた。

 高級ホテルでクリーニングを頼んだら、こんな恐ろしい値段になるんだ!

 戻ってきた水無川さんに、私は提案する。

「よかったらシャンパンをいかがです? クリーニング代はミュージック・チャージには高すぎますから」
「そうなのかな?」

 水無川さんはクリーニング代の相場を知らないんじゃないだろうか、と心配になってきた。

 あ、でも、ホテル住まいしながらアッパーフロアで働く人には、あのくらいのクリーニング代はどうってことないのかも。

 ちょっと失敗したかな。

「もしよかったら……なんですけど」
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