イケメン御曹司のとろける愛情
「どうぞ」
「ありがとうございます」

 水無川さんは隣の席に座って、グラスを掲げる。

「ステキなライブに」

 水無川さんが茶目っ気のある表情で言った。

「乾杯」

 私は照れながら、彼のグラスに軽く自分のグラスを触れさせた。シャンパンを一口飲むと、口の中でほんのりとした甘さが弾ける。

「おいしい」

 さすがにスイートルームのシャンパンは違う気がする。

 なんて、あんまりシャンパンに詳しいわけじゃないんだけど。

「あ、そうだ。よかったらチョコレートもどうぞ」

 私はテーブルの上の小さなカゴを彼の前に置いた。金色のフィルムに包まれたチョコレートがいくつか入っている。三好オーナーからの差し入れらしく、“奏美さんへ 三好”と書かれた小さなカードが添えられていた。

 カードを見て水無川さんが言う。

「俺も奏美さんって呼んでいいのかな」
「あ、はい」

 ジャズピアニストとしては“奏美”だけで通っている。
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