イケメン御曹司のとろける愛情
 まっすぐに見つめられて、私は小さくうなずいた。こんなにも自分が求められていることに、胸が、体が熱くなる。

「奏美さん……」

 直後、唇に再びキスが落された。さっきよりも強く押し当てられた唇が私の唇を貪る。そして、背中と膝裏に彼の手が回され、ふわりと横抱きに抱き上げられた。

 驚いて翔吾さんの首にしがみつくと、ぼんやりと窓の外が見えた。東京の明かりがにじんで見え、まるで星がさんざめいているみたいだ。

 私の視線を追って、翔吾さんは肩越しに窓の外を見た。

「スウィート・スターリー・ナイト(甘い星月夜)だ。アンコールの曲と同じだね」

 そうだった。ライブに来てくれた恋人たちに、甘い夜が訪れますように、と弾いた曲だ。

 今、私にもスウィートな夜が訪れようとしている。そのことに胸の高鳴りを覚えた。

 彼に抱かれたまま広いリビングを抜け、ベッドルームに運ばれた。ゆっくりと下ろされた背中が、ひんやりとしたシーツを感じる。

 翔吾さんはベッドに膝をのせ、手を伸ばしてベッドサイドランプの明かりをつけた。私の隣に横になり、手を取って指を絡める。

「細くてキレイな指だ」
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