イケメン御曹司のとろける愛情
 翔吾さんの低くかすれた声がゾクゾクするほどセクシーだ。

 男性と一緒にこんなふうに朝目覚めたのは何年ぶりだろう……。友達の紹介で知り合った会社員の彼氏と別れて以来だから……四年ぶり?

 夢を追うのに必死になっていて、恋愛からすっかり遠ざかっていたから、なんだか新鮮だ。

 恋ってたった一日で落ちたりするんだ。それに、私をこんなにも幸せな気持ちにしてくれるものだったんだ……。

 なにかを――夢でも恋でも――追いかけるのはすごくエネルギーを使う。でも、それが叶ったときには、こんなにも心が満たされるんだ。

 久々に温かな気分を感じ、チラッとタオルケットから目を覗かせる。目が合った翔吾さんがふっと微笑んだ。

「かわいい」

 ふわりと髪を撫でられ、くすぐったいような気恥ずかしさを覚える。翔吾さんは私を幸せにしてくれる言葉をたくさんくれる。

 タオルケットの中でにやけたとき、翔吾さんが私の額にチュッとキスを落とした。

「今日は一日、一緒に過ごしたい」

 私も、と言いかけて、現実に引き戻された。今日も昼からコンビニのバイトが入っている。
< 67 / 175 >

この作品をシェア

pagetop