イケメン御曹司のとろける愛情
 私はおそるおそる言葉に出す。

「ええと、イタリアン、かな」
「いいね。じゃあ、グラッタチエロを予約しておくよ。八時半だったら当日でも予約できると思うから」
「ありがとうございます。お願いします」

 安堵する私を見て、翔吾さんは声を低くして言う。

「そのあとは朝までずっと一緒に過ごせるよね?」
「もちろんです」
「よかった」

 翔吾さんはホッとしたように微笑んで、私の頬にキスを落とした。

 それから、連絡先を交換してチェックアウトを済ませ、エレベーターでエントランスに下りた。

 問題はここからだ。

 二階で働いていることは秘密にしたいから、二階に行くところを翔吾さんに見られないようにしなければいけない。

 私はさりげないふうを装って翔吾さんに問う。

「翔吾さんはホテルに戻るんですよね?」
「今日は……自分の家に戻ろうと思う」
「家?」
「川崎市内のマンションに住んでるんだ」
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