イケメン御曹司のとろける愛情
 フィットネスジムに通う人たちにプロテインバーやエナジーバーが人気で、土曜日はよく売れるのだ。倉庫から商品の入った段ボール箱を持って売り場に出た。しゃがんで作業をしていると、レジカウンターの向こうにいる紗良ちゃんの声が聞こえてくる。

「真緒、インターンシップの面接試験受けたんだよね。どうだった?」
「ビミョー」

 真緒ちゃんが返事をした。

「えー、ビミョーってなにそれ」
「んー、精密機械の商社だったんだけど、英語の面接があってさー。受け答えがイマイチちゃんとできなくて」
「英語の面接かぁ。それは私も嫌かも」
「だよねー」

 真緒ちゃんがため息をつくのが聞こえた。

 そっかぁ、やっぱり自分の希望する仕事に就くのって大変なんだよねぇ。

 わかるわかる、なんてついうなずいてしまう。

 二人の会話は続いてき、私は段ボール箱からプロテインバーを取り出した。

「次はアパレルの商社のインターンシップに応募してみようと思って」
「お、真緒、がんばるねぇ」
「だって、山本さんみたくなりたくないじゃない」
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