イケメン御曹司のとろける愛情
真緒ちゃんの声を聞いて、商品を棚に並べようとしていた手が止まった。
山本はわりと多い名字だけど、ここで働く“山本さん”は私だけだ。
「どうして?」
紗良ちゃんの問いかけに真緒ちゃんが答える。
「だって、山本さんってバイトしながらピア二ストを目指してるんでしょ? っていうか、三十歳にもなって独身でバイトと掛け持ち生活? 本業にできないなら、それって才能がないってことなんじゃない?」
真緒ちゃんは一段声を低くしたけれど、売り場にいる私にはどうしたって聞こえてしまう。
今度は紗良ちゃんの声が聞こえてくる。
「でも、昨日ライブしたとかどうとか、今日、自慢してたよ」
え、自慢してたつもりはないんだけど……。
「へー、そうなんだ。じゃあ、ここのバイト辞めるのかな?」
いや、その予定はないです。
心の中でそう答えたとき、紗良ちゃんが言う。
「それはないと思うよ。ライブって言ったって、メジャーなピアニストの代役だったらしいし」
「代役? じゃ、それって昨日だけってこと?」
「そうらしいよ」
山本はわりと多い名字だけど、ここで働く“山本さん”は私だけだ。
「どうして?」
紗良ちゃんの問いかけに真緒ちゃんが答える。
「だって、山本さんってバイトしながらピア二ストを目指してるんでしょ? っていうか、三十歳にもなって独身でバイトと掛け持ち生活? 本業にできないなら、それって才能がないってことなんじゃない?」
真緒ちゃんは一段声を低くしたけれど、売り場にいる私にはどうしたって聞こえてしまう。
今度は紗良ちゃんの声が聞こえてくる。
「でも、昨日ライブしたとかどうとか、今日、自慢してたよ」
え、自慢してたつもりはないんだけど……。
「へー、そうなんだ。じゃあ、ここのバイト辞めるのかな?」
いや、その予定はないです。
心の中でそう答えたとき、紗良ちゃんが言う。
「それはないと思うよ。ライブって言ったって、メジャーなピアニストの代役だったらしいし」
「代役? じゃ、それって昨日だけってこと?」
「そうらしいよ」