イケメン御曹司のとろける愛情
 私、まだ三十になってないよ。

 っていうか、今重要なのはそんなことじゃない。

 あの二人は私のことをあんなふうに思ってたんだ。

 でも、違うよ。夢を追うのに年齢なんて関係ない。

 私はまだ夢を叶える途中だけど、もうすぐ叶えようとしている人もいる。翔吾さんのことを話せば、真緒ちゃんだって夢を追うことが悪いこととは思わなくなるはず……。

 それを伝えようかと思ったが、そうしたら立ち聞きしていたことがバレてしまう。いくらなんでもそれはお互い気まずいよね……。

 そう思って迷っている間に、また真緒ちゃんの声が聞こえてくる。

「よくあるじゃん。夢を追いかけるのに必死になってて、“俺がデビューさせてやる”とか甘いこと言う男に騙される事件。“デビューするのにお金が必要だ”とか言われて、悪い男にほいほい貢いじゃうやつ」
「ああ、あるね~」

 西谷さんのことを思い出した。

 うう、耳が痛い。
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