イケメン御曹司のとろける愛情
 公私ともにって!?

 私はニュースを食い入るように見つめた。写真はプロジェクトの本格始動を発表する記者会見後のものらしいが、ベージュのスーツ姿の女性――記事によると円崎さん――と、チャコールグレーのスーツ姿の翔吾さんが、同じ車に乗り込もうとしている。

 そのとき、ふと昼間聞いた真緒ちゃんの言葉が耳に蘇った。

『それか、“キミの演奏が好きなんだ”とか甘い言葉を言う男と、体だけの関係になっちゃうパターン。都合のいい女にされてるのに気づかないの』

 違う。そんなことない。翔吾さんはそんなことをする人じゃない。

 そう思うけれど、真緒ちゃんの声は耳から離れてくれない。二人の写真も目に焼きついて離れない。

 でも、私、翔吾さんのこと、ほとんど知らない……。

 気づいたときには目的の駅に到着してドアが開いていた。

「ドアが閉まります――」

 アナウンスに続いて閉じかけたドアからあわてて降りる。

 ぼんやりしていて乗り過ごすところだった。胸を撫で下ろしたとき、手の中でスマホが震え出してびっくりした。画面を見ると、着信の相手は翔吾さんだ。
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