イケメン御曹司のとろける愛情
 一人でいる時間にこれ以上耐えられそうになくなったとき、人が近づいてくる気配がした。ハッとして視線を向けると、翔吾さんが案内係の人に先導されてテーブルに近づいてくる。

 来てくれた。

 肩から力が抜けてホーッと安堵のため息が漏れた。

「こちらでございます」

 案内係に示され、翔吾さんは軽く会釈をした。椅子に座って心配そうに私を見る。

「遅くなってごめん。待たせたよね?」
「いいえ、大丈夫です」
「ホントにごめん。どうしても外せない用事ができてしまって」

 外せない用事って、円崎さんと会うこと……だったんだよね。

 それを思うと心の中にドロドロしたものが湧き上がってきた。自然な表情が作れない。

 そのとき、白い制服姿の男性が現れて、金の縁取りがされたメニュー表を私たちの前に広げた。

「こちらが料理のメニューでございます」

 翔吾さんの視線が私からそれてホッとした。私もメニューに目を落とす。
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