イケメン御曹司のとろける愛情
「おいしそうですね」
「じゃあ、コースはこれで決まりでいい?」
「はい」
「俺はがっつり食べたいから、メインは肉料理にしよう。奏美さんは?」
「私は……」

 メニューを見たけど、魚料理は“サーモンと魚介のティンバッロ仕立て”となっている。ティンバッロ仕立てってなに?

 よくわからないので、私も肉料理にしよう。“国産黒毛牛赤ワイン煮込み”だもん。すごくおいしそうだ。

「私もお肉にします」

 翔吾さんは顔を上げて係の男性を見た。

「では、二人ともこのコースで、メインは肉料理の方を」

 係の男性は注文内容を繰り返し、「お下げします」とメニュー表を片付けて下がっていく。

 えっ、ドリンクは頼まないの?

 ワインリストはないのかな、と思ったとき、また白い制服を着た別の男性が現れた。さっきの男性よりも年上で、三十代半ばくらいに見える。

「こちらがワインリストになります」

 男性が金で縁取りされたメニュー表を差し出した。

 ってことは、この人がソムリエなんだ。
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