生徒会の甘い罠
「失礼しまーす」


俺が入った瞬間、すぐさまシーンと静まり返った。


全員の視線を浴びちゃった。


なんか……申し訳ないって思ってしまった。


「みなさん、監査委員長がいらっしゃいましたよ」


こういう時に大人がいてくれるとホントに助かる。


何でもいいから会話の糸口を作ってくれる。


「いきなり古巣をチェックですか?」


京花がパソコン画面とにらめっこしながら言ってるよ。


「たまたまです」


面子がほぼ変わってないからか、緊張感はほんの一瞬だ。


あまり軽く見られても困るんだよな。


「せっかく監査委員長が来たから新新聞部部長さん挨拶しましょうか」


お!新聞部部長が決まってるのか。


誰だろうなあ。


ワクワクする瞬間なんだよ…………。


…………京花が立ち上がってこっちに近づく。


「前期新聞部部長の霧島です」


セリフと表情が噛み合ってないぞ。


俺が尻込みするほどの恐ろしいスマイルだ。



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