生徒会の甘い罠
「自分はオヤジさんの付き添いです」


松矢君も意識してるようで、雑誌を読んでるフリをしてこちらに視線を合わせようとしない。


「どこか悪いの?」


「前からヘルニアだったんですが、悪化してしまって手術しました。明後日には退院します」


臼田も老いには勝てないってことだな。


しかし、いまだに誰もデイルーム周辺に人が来ないのはラッキーだ。


差し支えないトークだから問題ないか?


「よく病院入れたね」


「ツテです。やんちゃしてた奴がそれなりに偉くなってるんで」


「一人で大丈夫か?」


「他の連中は顔でアウトですから」


「なるほど」


「畳んだ後はこっちの仕事手伝うことになってるんですけど、仕事に支障がないように今から教えてます」
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