生徒会の甘い罠
ここで松矢君の視線が雑誌から離れた。


ワシもつい松矢君の視線の方向に目をやった。


「ここにいたの?」


これはまずい!


予想外に妻が校長のお見舞いを早く終わらせた。


「そちらは?」


聞かれるよな……。


これは雲行きが怪しくなる?


「彼は……、昔の教え子だったんだ。今は海外でスクールの講師してるんだけど、ちょうどまとまった休みもらって帰国中なんだ。今日は知人のお見舞いに来たらしい。そうだね?」


「はい。偶然ここでお会いしてつい昔話に花が咲いてしまって……」


「そうだったの。私来たのまずかったかな」


「いや、お互いもう帰ろうとしてたところだ。な?」


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