生徒会の甘い罠
「沙弥のことに関しては、この間言った通りだ。今も聞いてたと思うが、沙弥から問題を起こすようなことはしないし、問題が起きる高校でもない。下手に意識し過ぎるな」


どっちが教師なのかまるでわからんな。


「第一お前ももうじき定年なんだから、波風を自分から立てる必要なんてないだろ。俺は嫌いだけど、イエスマンでいればいいんだよ」


痛いところをつかれたところで松矢君がカレーを運んできた。


そう、もうじきワシは定年を迎える。


校長に昇格するかは不透明だが、ワシも家族も今の地位に不満はこぼしていない。


今さら校長になって不祥事の責任の矢面に立つ図太い神経なんてもうありもしない。


事なかれ主義のイエスマンで教師人生を終えたいです。


ワシからそれに近い言葉を聞こうものなら、臼田の血圧が計測不能になる。


何とか臼田の口から言わせようとしてるが…………。


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