キミに想いが届くまで~ずっと



「美月、どこ行くの?」



玄関に向かっている途中、お母さんに呼び止められた。




「うん、ちょっと、翔の家まで」




私がそう答えると

お母さんは顔色を変えた。




「美月、ちょっと来なさい。」



「えっ?何?」



お母さんは私をリビングに連れて行った。





テーブルのいつもの席に向かい合って座る。





私はお母さんの顔をまじまじと見つめたけど

お母さんは何も言おうとしない。




「お母さん、一体、何なの?」


私はしびれをきらしてそう言った。





「美月、落ち着いて聞いて欲しいんだけど……………」


お母さんはすごく話しずらそうに言った。






「何があったの?」


私はますますわけがわからなくなって
聞き返した。






「実は、美月が事故にあったとき、翔君も一緒だったの。
翔君は飛び出したあなたをかばおうとして飛び出した
みたいなの。それで翔君…………………、まだ、意識が
戻っていないの…………。」



その言葉にショックを受けた。


やっぱり、あの時、私をかばったくれたのは
翔だったんだ。




私、翔にひどいことしたな。




それとともに強い怒りがこみあげてきた。



「お母さん、なんですぐに言ってくれなかったの。」


私はお母さんに少し強い口調で言った。





お母さんは少し間を置いてから言った。



「それは……………、美月がせっかく目を覚ましたのに
これを聞いたら元気を無くすと思ったからよ。
ショックで元気をなくすだろうと思って………。
そのうち、言うつもりだったのよ………………。」




すぐに言ってくれなかったのは
私に気を遣ってくれたからだったんだ。








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