キミに想いが届くまで~ずっと
病院の外のベンチに私はひとり座って泣いていた。
信じられない現実に頭がおかしくなりそうだった。
もう、壊れてしまいそうだった。
本当に壊れてしまえばいいのにと思った。
それから、しばらく泣いていた。
青いそらを見上げながら泣いていた。
「美月ちゃん、」
翔のお母さんが私のもとにやってきた。
「さっきは驚かせてしまってごめんなさいね。」
翔のお母さんが話し出した。
「さっき、先生に聞いて来たんだけどね……………」
「翔はあの事故のせいで一部の記憶だけなくしてしまって
いるみたいなの。」
「……………。」
「それでね、そのうしなった記憶は戻るかわからなくて
戻る可能性は低いみたいなの。」
「美月ちゃんには本当に辛い思いをさせてしまったね。
でもね、これから、あの子もきっと苦労すると
思うの。その時は助けてあげて」
「いつかは必ず美月ちゃんのこと思い出すはずだから。」
病院からの帰り道、私の足取りはいつになく重かった。
さっきは明るく映っていた
花の色も。木の葉も。
街の景色すべてが暗く見えた。
すべてのものが絶望の色に染まっていた。