魔王の甘い罠 【完結】
『行こう』

私は一之瀬君の腕を引き、その場から駆け出した。

多勢を相手に殴り合いの喧嘩をしていた一之瀬君は息も絶え絶え。
パトカーのサイレンを遠くに聞きながら、2人で走った。

2人でゼイゼイ息を吐きながら、狭い路地で身を隠す。
「はぁ はぁ・・」

『ハァ・・一之瀬君、大丈夫・・?』

「あ、ああ、なんとか・・はぁ・・はぁ」

ようやく一之瀬君をちゃんと見れたその時、
愚かな私は初めて気づく。

一之瀬君、顔色が悪い・・真っ青だ・・

このまま走らせてはいけない。
喘息が・・

そうだ
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