進メ!
「・・・・・・は?」
――そして、何故か勢いよく後ろに引っ張られていった。
まるで、すごい吸引力の掃除機にでも吸われているかのように。
でも、男を引っ張ったのは、掃除機とは似ても似つかない、黒い影だった。
人の形をしている影だった。
影は、目を白黒している男に、拳を、叩きつける。
ごっ、という、骨と骨がぶつかる硬質な音がした。
男はそれきり、白目を向きっぱなしになり、どさり、と地面に倒れ込む。