なりのじぶん
「俺、高坂さんが好き」


わたしは視線をそらした。


「高坂さんは俺のこと、嫌いなの?」


わたしは首を横に振った。

―― 言葉にできなかった。

唇に強力な両面テープがくっついているかのようにわたしの口は動かなかった。

「俺とは喋ってくんない、の?」

「…喋る」


「じゃあ、

俺のこと嫌いって言って」
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