クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!
空き教室を出て一度黒川くんと別れてから、休憩に入って、水田さんと一緒に黒川くんたちのクラスに向かう。
「姫野さん、帰ってくるの随分遅かったね。大丈夫だった?」
「…え、あ、うん」
まさか、見知らぬ男たちに襲われかけて、それを銀髪ヤンキーの彼氏に助けられてそのあとイチャイチャしてました。
なんて言えるわけなんてなくて。
さっきまで黒川くんと一緒にいたのに、もう会いに行くなんて変な気分だ。
「…姫野さん」
────っ!
黒川くんたちの教室のドアの前に着いた時、すぐに黒川くんが気づいてくれた。
「あ、来ちゃった…」
私はそう言って、軽く手を振る。
「…黒川くん、結構似合ってるね。人のこと簡単に殴る人間じゃなければ絶対女子からモテるはずなのに」
「…あ、うん」
水田さんのセリフを素直に受け止めることができない。
黒川くんがみんなから好かれてなくて良かったって思ってる自分がいるから。
きっと、黒川くんが女の子からキャーキャー騒がれるような誰にでも王子様な人だったら。
私はきっと、黒川くんの彼女として横を歩くなんて一生できなかったと思う。
…最低だな…私。