クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!
「甘いクレープからおかず系のクレープまで!味は5種類!ぜひ来てくだ…」
だんだん呼び込みにもなれて来た時、遠くに見覚えのある背中が見えて思わずジッと見つめてしまう。
あれ……黒川くんの背中だ。
もう、何回見たか数えられないその愛おしい背中はすぐにわかってしまう。
黒川くんもクラスのカフェを宣伝してるのかな?
「あれ、黒川くんだよね?」
呼び込みをやめてぼーっと黒川くんを見ていた私に、水田さんがそう聞く。
「あ、うん」
「近く行く?」
「え…でも…」
「その方が黒川くんも喜ぶよ」
水田さんはそう言って私の手をとる。
「うんっ」
そう返事して、彼のところへ向かおうとした時だった。
「南夏が執事の格好?!何があったの!ヤバいっ!ちょっと写真撮っていい?」
え?
黒川くんの隣に女の子が見えた。
その人は、バッチリメイクで茶髪ヘアをゆるく巻いている、すごく大人っぽい子で。
2人の姿を見て、ズキンと胸が痛くなる。
誰なんだろう…。
「…知り合い…かな?」
水田さんも足を止めて、控えめにそう聞いて来る。
「わかんない…」
顔を固めたままそう答える。