クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!
───ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…
「…母さん、姫野さん連れてきたよ」
黒川くんは明るく優しい声でそう言うと私の手を握り締めながら、ベッドの方へと歩いていく。
──────っ?!
ベッドの方へ目を向けると、酸素マスクをした女の人がいた。
寝て…る?
私は黒川くんの顔を見る。
「…くも膜下出血で倒れてね。3年前のが再発したみたいで。3年前はなんとか回復できたんだけど…再発となると難しいみたいで。もう2ヶ月も昏睡状態なんだ」
そう淡々と語る黒川くんは、時々遠くを見ていた時とおんなじ顔をしていて。
かける言葉が出てこなかった。
「…母さん、ほら、連れてきたよ。姫野さん。俺、ずっと話してたじゃん。可愛い女の子がいるって」
黒川くんは少しも反応しないお母さんに、そう話しかけながら、ベッドの横に立った。
私は、予想できなかったこの状況にどうしていいかわからず、ただずっと少し遠くから2人のことを見つめる。