クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!
「…もうー!お兄ちゃん何やってたのよ〜!黒川くん来てるわよ?」
お母さんが慌てて玄関へ向かって、帰って来たお兄ちゃんにそう言う。
いつも必ず大きな声で「ただいま」というはずのお兄ちゃんが、無言のまま足音だけがどんどん近づいて来る。
これ…相当怒ってる?
足音でなんとなく察する方ができて、頭を抱える。
こんな神経すり減るような誕生日、今までになかったよ。
「ケーキ」
──────っ?!
お兄ちゃんは今までに聞いたことない低い声でそういうと、テーブルの中心にトンとケーキの入った箱を置いた。
そして。
私の隣に座る黒川くんを、これでもかってくらい、睨みつけた。
もう…やめてよ…。
黒川くん、本当にごめんっ!
「…もう…お兄ちゃん…」
「黒川南夏です。お兄さんですね。姫野さんからよく聞いてます」
「……」
お兄ちゃんは椅子に座ってから黒川くんの声を無視した。
あーもー!
大人気(おとなげ)ないなぁ…。
まぁ、怒鳴ったりするよりましか。
私たちは、お兄ちゃんを無視して、誕生日会を始めた。