クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!
ケーキにローソクを立てて、火をつけて「ふー」と私が火を消した時。
「…なぁ」
妹の私でも聞いたことないよう低い声でお兄ちゃんがそういった。
「…はい」
黒川くんがそう返事する。
「…沙良と強引に付き合った後は、母親が病気だって話して同情して優しくしてもらおうとかそういうこと?」
──────っ?!
へ?
お兄ちゃんのいってることがよくわからないけど、でも、黒川くんのお母さんが病気だっていうことは当たっている。
なんで、お兄ちゃんが黒川くんのお母さんのことを知ってるの?
「…親父さんが校長先生なんだろ?お前、沙良のこと脅してんだろ。付き合わなかったら成績下げるとか学校退学にさせてやるとか言ってよ」
「…お兄ちゃん何言ってるの?そんなことあるわけないじゃん…っていうかなんで黒川くんのお父さんとお母さんのこと…」
「沙良は黙ってて」
「……」
ローソクの火を消した匂いが、まだ少し残って、その匂いがまた悲しくさせる。
せっかくの誕生日なのに…。