クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!
「…辛くて、苦しい時。お兄さんがいうように、俺みたいなクズ誰も見ていないし誰も助けてなんかくれないってずっと思ってて、このまま死んでもいいやって思ったことがあったんです」
黒川くんが落ち着いた優しい声でそう言う。
「…そんな時に、姫野さんが助けてくれました。見知らぬ俺のことを…すごく優しく手当てしてくれて、何度も何度も『大丈夫ですか?』『他にいたいところはないですか?』って…」
……え?
黒川くんとそんなやりとりをした覚えなんてなくて、私は頭が混乱する。
一体いつの話を…。
「その時、心の中にあった辛かったもの全部が溶けていく感じがして…あの頃の姫野さんの匂いとか手の温もりとか今もずっと覚えていて」
もしかして…。
「姫野さんに助けてもらったあの日から、嫌なことから逃げないでちゃんと見つめようって思えるようになりました。その前までは父親の学校なんて通いたくなかったし、母親の体調が悪いのも見て見ぬ振りをして…でも、姫野さんに出会って…本当に何もかも変わったんです」