クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!
「…お疲れ…黒川くん」
「…うん。楽しかったけど、最初のお兄さんのあれは痛かった」
「本当にごめんね…」
「姫野さんが謝ることじゃないでしょ。結果お兄さんに姫野さんの最高に可愛い写真たくさん見せてもらったし。すげぇ楽しかったよ」
「うん、本当にありがとう」
あの後、お兄ちゃんはケーキを食べ始めた瞬間上機嫌になって、はしゃぎながら私の小さかった頃の写真を黒川くんにたくさん見せていた。
ほんの少し恥ずかしかったけど、でもお兄ちゃんと黒川くんが仲良く私の写真を見ている姿を見て微笑ましくてすごく幸せだなって感じた。
改めて、黒川くんと出会ってよかったって何度も思う。
そして今。
例の公園のベンチに、2人で並んで座る。
まさか。
ここが。
黒川くんと初めて出会った場所なんて。
3年前に私が軽く手当てした傷だらけの男の子と今隣にいる銀髪ヤンキーくんが同一人物なんて。
あの時の私は、何も考えずただ怪我をした彼を手当てすることだけで頭がいっぱいで。
何度記憶をたどってもやっぱり彼が黒川くんなんて信じられない。
私が助けたのは、華奢で黒髪の男の子だったもん。
でも…。
彼なんだよね。
私は、まだ若干疑いながら黒川くんを見つめる。
「…姫野さん、ありがとうね」
「…ん?」
「…生まれてきてくれて」
──────っ!!
家族以外に。
大好きな人に。
そんな風に言われるなんて。
思っても見なかった。
いつも誰かの顔色ばかり伺って。
いつも何かに怯えて。
そんな何もかもダメな私に。
そんなことを言ってくれる人がいる。
生きていることに感謝されるなんて。
頬に幾つもの涙が伝う。
「…こちらこそ…黒川くん、生まれてきてくれてありがとう」
私は黒川くんの目をまっすぐ見てそう言い返す。
「…だから…姫野さんのそういうところ、本当ズルいって」
「…えっ……っ!!」
黒川くんは「帰したくない」と私の耳元で呟いてから。
ショートケーキの味がほんのり残る甘い甘いキスをした。