クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!
少しして。
遠くからなにやらワーワーと言い合いながらやってくる男女が見えて来た。
やっと来た。
「…ごめん遅くなって!このクソ男が寝坊しやがって…」
いつもより増して可愛く見える楓ちゃんはどう見ても恋をしてる女の子の顔で。
塚本くんの顔を見てぼっと顔を赤くした。
「楓ちゃんって言うんだけど。黒川くんの幼馴染みで。それでたまたま困ってるところを塚本くんに助けてもらったみたいで…」
小声で隣の水田さんに説明する。
「あーなるほどね…」
水田さんはすぐに察してくれて、ニヤッと笑った。
「…あ、君…」
塚本くんが楓ちゃんを見て、指を指す。
塚本くん、気付いた。
「…あ、あの、この間は…」
楓ちゃんが頬を赤らめながらモジモジと塚本くんそう言う。
「見ない顔だね。黒川の知り合い?」
「……」
塚本くん、空気読んで。
塚本くんが意外と抜けているのがわかって、楓ちゃんは少し涙目になったけど。
「いや、勝負はここからだよ沙良」
と低い声で自分にそう喝を入れてから、塚本くんの隣へ向かった。