クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!
ガチャ
黒川くんは慣れた手つきでドアの鍵を開けると、ドアノブを回してドアを体で押した。
キィーー
「……っ!」
光が一気にさして、思わず目を瞑る。
「俺の特等席」
黒川くんはそういうと、フェンスの前まで歩いて腰を下ろした。
眩しい日差しに目が慣れてきて、だんだん視界がはっきりする。
「黒川くん、大丈夫なの?屋上って立ち入り禁止だよね?」
「この鍵はしっかり校長から借りてきたものだからいいの。借りたっていうか、半分俺のものみたいなもんだけど」
「え…校長先生…?」
「父親なんだ」
「え?!」
びっくりして裏返った変な声が出る。
「親父の学校なんてゼッテー通わねぇって思っていたけど…昔ある人に出会って、親父の学校に通ってみるのも悪くないかなと思ってさ。そしたらほら、本当に悪くない」
黒川くんはそういって屋上の鍵をキランと見せた。
集会のとき舞台で話す校長先生の顔を思い出す。
似て…る…かな…?
わかんないや。
あれ…でも…。
「校長先生の苗字って…」
「入江。俺が中学上がる前に母親が離婚してそれで黒川に」
「あぁ、そうなんだ…」
黒川くんち、色々あるんだな。
校長先生がお父さんだっていうのがすごく衝撃的だけど。