クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!
「お母さ〜んっ!!」
「ふふーん。黒川くんとデートなんでしょ?」
「…へっ?!なんで…それ…」
「見てたらわかるわよ〜、あんな早起きしてずーっと鏡見てるんですもの。決まらないの?服」
「…うん…いつもは全然気にしないのに…今日はなんだか、全部の服が変に見える」
「ふふっ。お母さんもお父さんと初めてデートする時そうだった♪」
「…そうなんだ」
お父さんとお母さんの初めてのデートなんて、想像しただけでなんだかこっちが恥ずかしくなる。
「沙良は何着ても似合うんだから。いつも通りでいいと思うわよ」
お母さんは私の両肩を後ろから掴まえて、鏡ごしで私を見ながらそう言う。
お母さんのたった一言で。
なんだか少しだけ心が落ち着く。
「うん。ありがとう。お母さん」
第一、恋人じゃなくて友達だし、遊びに行くわけじゃなくて、謝るために会うわけだもんね。
そうだ。そうだ。
少し浮かれていた気持ちを慌てて押し殺して、私は普段着ているお気に入りの服に袖を通した。