クールなヤンキーくんの溺愛が止まりません!



「黒川くん…手…」


「何?」


黒川くんの声はまだ少し不機嫌で。

でもずっと私の手を繋いでる。



「…電車の中は…さすがに…」



黒川くんは電車の中で座ってもなお、私の手をギュッ握りしめて離さない。



「姫野さん、いつどこで走っちゃうかわかんないから」


「……うぅ…電車の中では走らないよ…」


「信じない」


「…そんなぁ」


こんなことを言っておきながら、内心ちょっと喜んじゃってる自分がいる。



周りの人から見たら。



私たちはどう見えているだろう。


カップル?


そんなことを思って、また『変な格好していないかな』という不安が襲ってくる。



隣の黒川くんは…呑気に目を閉じて眠っている。


やっぱりかっこいい。



「姫野さん、見過ぎ」


「へ?!」


寝ていると思っていた黒川くんが目をつぶったままそういうので思わず変な声が出る。



…もう。



そして、黒川くんは目をつぶったまま、手をギュッした。



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