課長の瞳で凍死します ~伊勢編~
 ずらりと並んだ宿の人たちが、玄関で出迎えてくれる。

 それにしても、荷物持ってもらうと、申し訳ない気持ちになるのは私だけだろうか……。

 運んでくれるのが女性だったこともあり、雅喜はいいです、と断っていた。

「わ、私もいいです」
と言うと、

「お前は持ってもらえ」
と言われる。

「で、では、よろしくお願い致します」
とどのみち、たいして荷物の入っていないキャリーバッグを両手で突き出すと、宿の人も笑っていた。




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