課長の瞳で凍死します ~伊勢編~
 




 朝起きると、まだ真湖は眠っていた。

 今日はベッドから落ちてはいないようだな、と思う。

 それか落ちて這い上がってきたのを爆睡していた自分が気づかなかったのか。

 そっと真湖を起こさないよう、ベッドから降り、トイレに行った。

 だが、トイレの戸を開けたあとで、ん? と思う。

 広いのだ。

 家のトイレと違い、戸口から便器まで距離がある。

 昨日、沢田はどうやって、手をつないでトイレに行ったんだろうな、とふと思った。

 ベッドに戻り、眠っている真湖を見て、また気づく。

 真湖のベッドと自分のベッドの間には距離があり、とてもじゃないが、手をつないで眠ることはできない。

 それによく考えれば、自分を起こした真湖が立っていたのは、寝ている状態で、左側。

 真湖のベッドとは反対側、天蓋のカーテンがあるだけだ。

 それに、あの真湖は寝るときようの浴衣を着ていたが、夕べ、食事から帰ってひっくり返って寝てしまった真湖は、色浴衣を着ている。

 帯は寝にくいだろうと思って外してやったのだが。
 



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