課長の瞳で凍死します ~伊勢編~
エピローグ
 


 真湖たちは駅までタクシーで出た。
 そのあと、しばし、迷う。

 このあとの計画はわざと細かく立てていなかったからだ。
 自由に動けるように。

「さて、沢田。
 何処に行きたい?」
と駅前で雅喜が訊いてきた。

「パンダが見たいです」

「なんだって?」

「パンダが見たいです」

「……パンダは和歌山県だ」

「そうなんですけど。
 一緒にパンフレットに載ってましたよ」

「載ってはいたが、和歌山だ。
 まあ、他に予定もないから行ってみるか」

 駅にあった観光案内のパンフレットを見ながら、電車を探してくれているようだった。

「まだちょっと時間があるな。
 何処かでお茶でも飲むか」

 時間も確認して雅喜は言う。

「あ、じゃあ、さっき、素敵なカフェが見えたから、あそこで」
と真湖が言い、二人は歩き出した。
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