課長の瞳で凍死します ~伊勢編~
その店は、いい意味で、昔ながらの喫茶店、という雰囲気だった。
他の人が頼んだランチの匂いを嗅ぎながら、お茶をする。
雅喜はテーブルに置いたタブレットの写真を見ていた。
先程撮った、真湖の写真だ。
マッサージチェアに座っただけの真湖。
服を着たまま、シャワーを浴びているふりの真湖を見ながら、
「……莫迦だな」
と雅喜は呟いていた。
いや……貴方がやれと言ったんですよね、と思いながら、ミックスジュースを啜る。
バナナの強い、懐かしい味がした。